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女性の積極登用(ポジティヴ・アクション)

 アファーマティブ・アクション (AA)

 これまで差別されてきた少数派(minority)に対して、教育雇用などの機会優先的与える政策をアファーマティブ・アクション (積極的差別解消政策=affirmative action=AA)といいます。

 大学入学、就職、昇進などで女性や黒人が優遇されます。米国では1964年の公民権法が成立し、連邦政府から援助を受けている機関に対してAAが義務づけられました。違反すると補助金削減などの不利益を受けます。

 一方、AAは男性や白人に対する逆差別であるとの批判もあります。カリフォルニア州は1996年にAAを廃止しました。

 クオータ制

 女性の社会的地位向上の機運を加速するために女性を積極的に登用することをポジティヴ・アクションといいます。

 男女雇用機会均等法は労働者に対し性別を理由として差別的取扱いをすることを原則禁止していますが、8条で、過去の女性労働者に対する取扱いなどが原因で生じている男女労働者の間の事実上の格差を解消する目的で行う「女性のみを対象にした取組」「女性を有利に取り扱う取組」は違法ではないとしています。

 男女格差を解消するために女性枠を設けることをクオータ制 (人数割当制)といいます。外国では①憲法や法律が議席数や候補者数を割り当てる、②政党が候補者数を割り当てる―といった例があります。

 15年に発足した超党派議連は16年春、衆院の比例・小選挙区重複立候補者を政党の判断で男女の2グループに分けて交互に比例代表で復活当選させる案をまとめました。小選挙区で落選後に惜敗率で復活する際に男女比率均等化を図るもので、クオータ制と同趣旨です。機運の高まりが実感されました。

 しかし、夏の参院選前に事態は一変しました。自民・公明・維新は「男女候補者同数目標」の「同数」を「均衡」に変えました。一方、民進、共産、生活(現自由)、社民の野党4党は「同数」案を提出しました。議連の野田聖子幹事長(自民)、郡和子副会長(民進)の他、Qの会(クオータ制を推進する会)の赤松良子代表(細川・羽田政権時の文部相)が無念を示しました。

 フランスのパリテ

 フランスはいち早くクオータ制を導入しましたが、憲法院は1982年、「特定枠を優先規定することは、他方の立候補の自由を奪う人権侵害である」との判決を下しました。

 その後、クオータ制(割り当て)の発想はパリテ(等価性の維持)へと移行し、1999年に憲法が改正されました。「法律は、選挙によって選出される議員職及び公職への男女の平等なアクセスを促進する」(3条5項)、「政党は、法律に定められた条件で、前条最終項で表明された原則の実施に貢献する」(4条2項)となりました。パリテは2008年の改憲で職業・社会分野に拡大しました。それは出生率回復の一因でもあります。

 2015年には男女ペア候補に投票する県議選が始まり、98県で2054組4108人が当選しました。当選回数を重ねた男性が議長になったために女性議長は8人にとどまりましたが、この方式の選挙が何度も繰り返されれば次第に女性議長が増えることでしょう。

 女子教育の重要性

 高市早苗前総務相などは、クオータ制を無能な女性を登用する逆差別ととらえます。現状で女子の学力は低いのもたしかです。

 2012-17年の科学五輪(数学、物理、化学、生物学、地学、情報、地理)出場人数は筑波大附駒場(東京)35、灘(兵庫)33、開成(東京)22、広島学院7、海陽中等(愛知)5、大阪星光学院5、桜蔭4、白陵(兵庫)4、栄光学園(神奈川)4、広島大附福山3、東大寺学園3、都立武蔵3、県立岡崎3、大阪教育大附天王寺3、筑波大附(東京)3、洛星(京都)3、県立宮崎西3です(のべ人数,開成中は開成に含みます)。女

子の210人中の8人(4%)に過ぎません。

 囲碁には藤沢里菜女流四冠(藤沢秀行名誉棋聖の孫)、謝依旻女流棋聖(台湾出身)がいます。将棋は西山朋佳三段、里見香奈三段、加藤桃子1級しかいません。今活躍する女子をパイオニアとして裾野を広げるのが理想です。未来は教育がつくるものです。

 

 当事務所のポジティヴ・アクション

 衆議院議員に占める割合9.3%は世界193か国中163位です。世界平均は23.3%です。日本はG7中最下位はもちろん、中国全人代の23.7%にも負けています。2020年までに指導的地位に女性の占める比率を30%にするという政府の目標にはまったく及びません。これは世界の国会議員が参加する列国議会同盟(IPU)が2017年3月7日に発表した一院制の議会または下院における女性の割合です。

 女性の比率は司法書士、社労士、行政書士、税理士、宅建士の世界でも多くありません。業界内の男女差を解消するためには行政任せではいけません。

 女性の社会的地位向上の機運を加速するために女性を積極的に登用することをポジティヴ・アクションといいます。当事務所は、政府の掲げる「女性が輝く社会」を実現するために率先してポジティヴ・アクションを推進します。

自民党本部で対談する高市早苗政調会長(左)と野田聖子総務会長(右)=2013年4月9日に産経新聞の酒巻俊介氏が撮影したものを引用。役職は当時のもの。

上 野

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